うぃーん……
「いらっしゃいま……せ…」
すたすたすた…
ぴたっ
「おい」
「は、はい?」
「これをくれ」
「へ?」
「これだ。この指輪をくれと言っている」
「え?あ…はい。こちらのピンキーリングですね。
しょ、少々お待ち下さい」
次の日の放課後、早速なつきは昨日の店に来た
やはり記憶は確かで
あの雑誌に載っていたピンキーリングは売っていた
店員に号数を告げ、無事に買い物は終了
その間、約5分。
「あ、有難う御座いました…」
(…やっぱり変な客…)
また一人残される形となってしまった店員は
立ち去る“変な客”の後姿をずっと見つめていた
***
「ただいま~」
「おかえり、なつき」
店から出た後、出来るだけ急いで帰って来たつもりだったが
静留の方が一足早かったらしい
彼女はキッチンで夕飯の支度をしていた
「静留、あの…」
「なつき悪いんやけど…
うち、これからちょお出掛けなあかんようになってな。
晩御飯もう出来るさかい、先食べとって?」
「えぇ!?こ、これから?何処に行くんだ…?」
なつきは出し掛けた手を慌てて引っ込めた
「華道部の人がな、どうしても作品見て欲しい言うて聞かんのよ。
最初は断ったんやけど、あんまり無下にも出来んしなぁ…」
「そうか…何だかお前、大学行っても大変だな」
「せやねぇ…うちはなつきとゆっくりしたいんやけど」
はぁ…と静留は溜め息をつき苦笑した
「仕方ないな…でも今日は帰って来たらプレゼントがあるからな
頑張ってるご褒美だ」
「あら、何やろ?なつきのご褒美て。
今日の夜は期待してえぇんやろか」
「よよよ、夜!?」
「せやから今日のセッ「わっ!バカ!言うな!!それ以上言うなっ!!」
静留の口から可也恥ずかしい単語が出てきそうだったので
なつきは慌てて言葉を遮った
顔は見なくても真っ赤だ
「あぁん…いけずやねぇ。でも、楽しみにしてますわ」
「あ、あぁ…気をつけて行って来い。あんま遅くなるなよ」
「えぇ。ほな、行ってきます」
そういって玄関から出て行く静留をなつきは笑顔で見送った
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